むし歯は簡単に言うと、歯が溶かされる病気です。歯の中には痛みなどを感じる神経が存在しており、むし歯が進行していくとこの神経に到達し、痛みを感じるようになります。
進行度合いによっては治療方法は異なりますが、一定の状態まで進行してしまうと、歯を失う可能性もあります。
むし歯は歯が溶かされる症状のことを言います。歯の表面が溶かされた程度であれば痛みを感じないことも多く、また完全に歯の神経がむしばまれてしまった状態になると、痛みを感じなくなります。
特に表面が溶かされてしまっただけの初期むし歯の状態では、痛みを感じませんが、表面が溶かされているため、むし歯が発生していることになります。この時期に対処できればむし歯は進行せず、神経や歯を抜くような大きな手術をするリスクも抑えられます。
痛みの感じ方には種類があります。よく見られるケースは、何かを噛んだ際に感じる、噛み合わせの痛みでしょう。奥歯のかみ合わせはむし歯になりやすい場所の一つです。
その他には冷たいものや熱いものを飲んだ際に感じる痛みもあります。熱いもので痛みを感じる場合の方が、重症化している可能性が高いです。ただし、むし歯以外にも歯周病などで、この冷たい、あるいは熱いもので痛みを感じることもあります。
多くの場合、この痛みを感じると歯医者へ行くことになりますが、むし歯の進行状況やむし歯の状態によっては、表面からも確認できることがあります。初期むし歯の場合は、表面は少し白くなっていたり、薄茶色のような色がついています。
むし歯が更に進行すると、黒い小さな点が付いていることがあります。黒い点があった場合はむし歯の可能性が高いです。またむし歯は表面からはほとんど見えませんが、歯の内部で大きく広がっていることもあります。その場合は、表面で見えている以上に症状が進行してることもあります。
むし歯の原因は主にミュータンス菌と呼ばれる細菌です。この細菌は食べ物やその栄養素などをエサにして口の中で繁殖していきます。通常はうがいや飲み物を飲むだけでもある程度口の中が綺麗になりますが、うがいなどでは取れないものや隙間に残っているものなどがあると、それらをエサにこの細菌が口の中で繁殖していきます。
これらのエサをもとにミュータンス菌を含む大量の細菌が集まって形成されるのがプラーク(歯垢)と呼ばれるものです。白くて少し粘り気のあるもので、歯に付着するとなかなか取れず、また虫歯を進行させる原因となります。プラーク(歯垢)は24時間ぐらいで生成されるといわれていますが、口の中の衛生状態や個人差などによっても変わります。
このプラーク(歯垢)がなぜむし歯を引き起こすかというと、このプラーク(歯垢)の中にいる細菌が食事で摂取した栄養素を「酸」に変えるからです。「酸」は歯を溶かしてむし歯を引き起こします。
特に砂糖(糖質)は、この「酸」の生成を促進したり、生成までの時間を早めたりする影響があります。砂糖や甘いものはむし歯を引き起こすといわれていますが、この「酸」の生成を促進する栄養素だからなのです。
プラーク(歯垢)は口をゆすいだだけでは全ては除去することが難しく、そのため歯ブラシで歯を丁寧に磨く必要があります。また、マウスウォッシュなどの活用も効果があると言われています。
プラーク(歯垢)は放っておくと「歯石」になります。歯石はプラークが石灰化したもので、プラークを放置しておくと2日目ぐらいから石灰化が始まり、2週間ほどの期間を経て硬い歯石へと変化していきます。歯石になると自分で歯磨きをするだけでは除去ができず、歯医者へ行って歯石を除去してもらう必要があります。
歯石になった時点で歯石内の細菌は死滅するため、歯石が直接むし歯を引き起こしたりすることはありません。しかし歯石の表面は細菌が付着しやすく、食後など口の中に細菌が留まりやすくなります。これらの付着した細菌が別のところでむし歯を生み出したり、歯周病や口臭などを引き起こす原因となります。
食後に丁寧に歯磨きしなければならないのは、このような悪影響を及ぼすプラーク(歯垢)を除去しやすいうちに、しっかりと除去しておくことで歯の健康を維持できるからです。
むし歯になりやすところは、奥歯の噛み合わせ、一番奥の歯の奥側、歯の根元、歯と歯の間などです。これらの場所は食べ物の残りカスや、プラーク(歯垢)が溜まりやすく、また歯を磨いた際に磨き残しが出てしまいやすいところでもあります。
また、年齢によって、むし歯になりやすい場所は変化していきます。子供は、生まれてから歯が全て揃うのが2歳から2歳半ごろと言われています。歯が全て揃う前は、主に前歯の裏側などは磨き残しが多く、むし歯になりやすい傾向があります。
また子供のうちはまだ歯が強くなく、甘い飲みのものなどを飲ませていると、様々なところにむし歯ができやすくなります。歯が痛くても自分で申告してこないことも多いため、見つかった時にはかなり進行してしまっていることがあります。
3歳ごろになり、歯が全て揃うと、今度は奥歯の歯の噛み合わせがむし歯になりやすい傾向があります。噛み合わせは表面が凸凹しており、磨き方が甘いと食べ物の残りカスやプラーク(歯垢)がすぐに溜まっていきます。
子供の場合は、上記のような歯磨きが甘くなりやすいところを重点的に注意しておくと良いでしょう。
また大人の場合は、奥歯の噛み合わせや一番奥の歯の奥側や、あとは過去に治療を行なって詰め物をしている歯の詰め物の周辺もむし歯になりやすい場所です。詰め物の周辺でむし歯が発生した場合、表面からでは気づくことが難しく、神経がかなり損傷して痛みが出てきたタイミングで初めて発覚することも多いです。歯の詰め物にも寿命があり、種類によりますが、一般的な詰め物の場合は5年ぐらいが取り替えの目安となります。
また歯並びが悪かったり、八重歯の場合などは、歯ブラシが届き辛い場所や、歯石が溜まりやすい歯と歯の隙間には特に注意して歯磨きをするようにしましょう。