デンタルフロスは歯と歯の隙間の歯垢(プラーク)を取り除くために利用します。歯ブラシとデンタルフロスを併用して歯を綺麗にすることで、むし歯の予防効果が高まります。
歯垢(プラーク)は歯のあらゆるところに付着しており、正しい歯磨きの仕方は、歯ブラシが歯の様々な部分の歯垢(プラーク)を擦り落とせるようにまとめられています。
しかし、正しい歯磨きの仕方でも歯ブラシが当たりづらいところがあります。その一つが歯と歯の隙間です。
特に奥歯の歯と歯の隙間は奥深くまでブラシが入っていかず、歯垢(プラーク)が残ってしまうことも多いです。
デンタルフロスはこのような歯ブラシが届きづらい歯と歯の隙間の歯垢(プラーク)を落とす際に利用されます。
過去、日本歯科保存学会の雑誌で紹介された研究の結果では、歯と歯の間の歯垢(プラーク)の除去率は、歯ブラシのみの場合が約60%で、歯ブラシとデンタルフロスの場合だと約80%まで除去できると言われています。
デンタルフロスで歯と歯の隙間の歯垢(プラーク)を取り除くには、正しくデンタルフロスを利用する必要があります。
デンタルフロスには柄がついているものと、糸だけを適度な長さで切って使うタイプがあります。
糸だけの場合は、大体40cmぐらいの長さで糸を切って、両端を中指に巻きつけます。そして糸の長さが15cmぐらいになるように調整します。
15cmぐらいの長さになったら、あとは両手の親指と人差し指で糸をつまみ、歯の隙間に実際に入れる幅を1〜2cmほど作ります。この1〜2cmの幅を歯の隙間に入れながら、歯垢(プラーク)を除去していきます。
柄がついているデンタルフロスは、そのまま以下の使い方に従って使うことができます。慣れないうちは、グリップのついているデンタルフロスの方が使いやすく、またプラークの除去も効率的に行えるでしょう。
歯と歯の隙間に入れる際、歯の上部はより密接していて、デンタルフロスが通りづらくなっています。力強く押し込もうとすると、通り抜けた際に反動で歯茎を傷つけてしまうことがあります。
うまく通らない場合は、前後に動かしながらノコギリを使うようなイメージで、少しずつ歯の隙間に入れていくようにしましょう。
デンタルフロスを出す際も同様です。デンタルフロスを入れづらい隙間は、出す際にも引っかかります。無理矢理引き抜くと歯を傷つける可能性があるため、同じように前後に動かしながら、少しずつ引き抜きましょう。
また、一度むし歯を治療して被せ物などをしている場合も注意が必要です。
被せ物をしている歯もデンタルフロスをすることは問題ありませんが、同じようにデンタルフロスが通りづらいところを無理矢理引き抜くと、被せ物が取れてしまう可能性もあります。
歯と歯の隙間にデンタルフロスが入ったら、歯垢(プラーク)を除去していきます。
まずは、片側の歯の方へデンタルフロスをしっかりと引っ付けます。そしてゆっくりと下へデンタルフロスを入れていき、深く入らなくなったところで止めて、再度上へ持ち上げます。
この動作を2〜3回繰り返し、終わったら今度は反対側の歯の側面にデンタルフロスを当て、同じように2〜3回上下に動かします。終わったら、デンタルフロスを取り出し、次の隙間へ移ります。
ポイントとしては、真っ直ぐ下へデンタルフロスを下ろすのではなく、歯の側面にデンタルフロスを引っ付けて、沿わせながら下ろしていくことです。
歯垢(プラーク)は歯と歯の隙間の側面だけでなく、歯と歯の隙間側の歯の根元にも溜まりやすくなっています。
歯の根元と歯肉には小さな隙間ができていることがあり、歯周ポケットと呼ばれています。この歯周ポケットには歯垢(プラーク)が蓄積しやすく、デンタルフロスで綺麗にする必要があります。
特に歯周病が進んでいるとこの歯周ポケットが大きくなり、歯垢(プラーク)が溜まりやすくなっているので意識して綺麗にする必要があります。
見えている歯茎の高さよりも深くデンタルフロスが入っていきますが、自然と入っていく深さであれば問題ありません。デンタルフロスは強く動かさず、優しく動かすようにしましょう。
まずは奥歯の隙間を綺麗にし、終わったら前歯の隙間もデンタルフロスで綺麗にしましょう。
前歯は歯の隣接面は狭くて歯垢(プラーク)は残りにくいですが、前歯の歯周ポケットには蓄積しやすいため、デンタルフロスで綺麗にすると、歯周病予防にも効果的です。
デンタルフロスと似たようなオーラルケアグッズとして、歯間ブラシがあります。歯間ブラシは、先が細い針金とブラシになっており、歯の隙間に入れて使います。
歯間ブラシの目的はデンタルフロスと同じで、歯と歯の隙間の歯垢(プラーク)を除去するために利用されます。
デンタルフロスと歯間ブラシの違いは、歯垢(プラーク)の除去効果と利用可能な場所です。
日本歯科保存学会の雑誌で紹介されたデンタルフロスの効果を示す研究では、歯間ブラシの効果も同じように調査されました。
歯ブラシのみの歯垢(プラーク)除去率が約60%、歯ブラシとデンタルフロスの併用が約80%なのに対して、歯ブラシと歯間ブラシの併用は約85%まで除去率が上がると報告されています。
歯間ブラシの方がデンタルフロスより、歯垢(プラーク)をより多く除去できると考えられます。
しかし、歯間ブラシは針金とブラシの部分が少し大きく、デンタルフロスであれば入れられる隙間でも、歯間ブラシでは隙間に入れられないことがあります。
歯間ブラシは効果が高いですが、使える場所は限られていて、一方のデンタルフロスは効果がほどほどで、どこでも利用ができるのが特徴です。
歯間ブラシの使い方は簡単です。歯茎を痛めないように、ゆっくりと歯と歯の隙間に入れましょう。少し下から上へ向けて入れると、より安全です。
歯と歯の隙間にブラシが入ったら、前後に2〜3回動かして歯垢(プラーク)を除去します。
同じ隙間を内側と外側の両側から歯間ブラシを入れて、それぞれ同じように掃除すると、より効果的に歯垢(プラーク)を除去できます。
ポイントとしては、まず隙間に合ったサイズの歯間ブラシを利用することです。サイズが合っている歯間ブラシを利用することで、より歯垢(プラーク)の除去が効果的に行えます。
しかしサイズが大きすぎると隙間に入らなかったり、うまく入っても前後に動かした際に歯茎を傷つけてしまう可能性があります。
まずは小さいサイズの歯間ブラシを選び、そこから隙間が大きいと感じる場所には、大きいサイズの歯間ブラシを使いましょう。