歯磨きの目的

歯磨きは、歯や口内の様々な病気の予防に欠かせません。歯は食事をすることで毎日むし歯の危険に晒されています。毎日正しい歯磨きをすることで、歯は長く健康でいられます。

むし歯の原因と予防

むし歯は、歯が溶けていく病気です。むし歯の部分が歯の中にある神経に近くなると痛みを感じ、歯の神経がむし歯に侵食されると、その歯を抜歯しなければならなくなります。

歯の表面や浅いところが溶けている間は、そこまでまだ痛みを感じません。また歯の表面が溶けた程度であれば、歯の自己修復機能によって自己修復も可能です。

歯を自己修復させて長く健康な歯でいるためにも、早い段階からむし歯の原因を除去しむし歯の予防を行うことが重要です。

むし歯の原因は主にミュータンス菌という細菌で、食事の栄養素などによって口内で繁殖します。細菌が口内で繁殖すると、大量の細菌で構成される歯垢(プラーク)という粘着性のあるものが出来上がります。

この歯垢(プラーク)の中にいる大量の細菌が、食べ物の栄養素などを酸に変え、その酸によって歯が溶かされていきます。

歯垢(プラーク)は食事後大体24時間で出来上がると言われており、そこから2週間ほどで歯石へと変化していきます。歯石になると歯医者でなければ除去できません。歯石には細菌がつきやすく、歯石があるとその周辺がむし歯になりやすくなります。

むし歯にならないようにするには、このむし歯の原因である細菌や歯垢(プラーク)、あるいは歯石が歯に長く付着しないよう常に取り除くことが大切です。

毎日の歯磨きの重要性

歯磨きは、むし歯の原因となる歯垢(プラーク)や食べカスなどを取り除くのが主な目的です。歯垢(プラーク)は粘着性が強く、うがいなどをしただけでは落とすことができません。歯ブラシで擦り落とすことで、除去することが可能です。

歯垢(プラーク)は歯の様々なところに付着をしており、これらを全て歯ブラシでしっかりと擦って落とす必要があります。

歯には歯ブラシが届きづらく、磨き残しが発生しやすいところがいくつかあります。このような磨き残しが発生しやすい部分に歯垢(プラーク)や歯石が累積して、知らないうちにむし歯になっているケースはよくあります。

また、歯垢(プラーク)は24時間掛けて形成されますが、形成されるまでの間も中にいる細菌が酸を出して歯を溶かしています。また糖分などは歯垢(プラーク)の細菌が酸を生成するのを促進します。

歯の表面が溶かされた程度では痛みを感じず、また徐々に自己修復することも可能ですが、歯が溶かされている状態が続くと、いずれむし歯になる可能性が高くなります。

毎日食後に正しい方法で歯を磨くことで、普段から歯を健康に保ち、むし歯になるリスクを減らすことができます。

フッ素の活用

むし歯の予防に効果的な成分として、フッ素というものがあります。フッ素にはむし歯を予防するためのいくつかの効果があります。

  • 抗菌作用
  • エナメル質の修復
  • 歯質の強化

抗菌作用

むし歯の原因である歯垢(プラーク)は大量の細菌によって構成されており、中の菌が酸を生成して歯を溶かしています。フッ素はこの細菌の働きを弱める効果があり、歯垢(プラーク)内の細菌から生成される酸が少なくなります。

エナメル質の修復

歯の表面のエナメル質は、むし歯になっていく過程の最初の段階で溶かされる部分です。むし歯の初期の段階では自己修復が可能ですが、それはエナメル質が自己修復をすることができるからです。

自己修復では、唾液に含まれるカルシウムなどの成分をエナメル質が取り入れて自己修復を行いますが、フッ素はこの唾液内の必要な成分をエナメル質が取り入れるサポートをしてくれます。そのためフッ素が作用すると、よりエナメル質が修復されやすく、初期のむし歯などが改善しやすくなります。

歯質の強化

フッ素は歯に作用することで、エナメル質をより強固なものにします。強固になったエナメル質は酸でも溶けにくくなり、むし歯になりにくくなります。

これらの効果によって、フッ素を利用することでむし歯の予防が可能になります。フッ素は肉や魚、野菜など、普段の食事に利用される多くの食品に含まれているため、普通に生活をしていれば毎日摂取をすることになります。

フッ素は口内に留まっているうちは上記の効果を発揮するため、なるべく長く口内にフッ素を留めておくことが重要です。また毎日食事によって口内の細菌が酸を発生させむし歯を助長しているため、毎日の歯磨きなどでフッ素を口内に取り入れられると、より予防効果が高まります。

多くの歯磨き粉はフッ素を取り入れるようにしているため、歯磨き粉を購入する際に、フッ素が入っているか、またフッ素が長く口内に留まるような工夫がされているか、確認すると良いでしょう。

また、歯磨き粉とは別でフッ素を歯に付着させるようなホームケア商品もあります。歯医者に行けば、フッ素を塗布してもらうことも可能です。様々な方法でフッ素を活用することで、むし歯の予防をより効率的に行うことができます。

子供のむし歯予防とフッ素

子供は歯のエナメル質が柔らかく、そのため酸に溶かされやすくなっています。子供がむし歯になりやすいのは、このエナメル質の強度の問題も一つ考えられます。

フッ素は子供が利用しても問題ないため、子供の歯磨き粉でもフッ素入りのものを選ぶと良いでしょう。またフッ素を塗布することで、エナメル質が強固になり、むし歯になりにくい歯を作ることもできます。